病気と科学

~不安症/心配性/神経質と病~

こんにちは、みずのです。

IBSをはじめとして何かしらの不調をお持ちの方は以下のように思ったことはありませんか?

「どうして自分だけがこんな病気になったんだ?」

「治療しているはずなのによくならないのはなぜだ?」

またこのような体験はありませんか?

「家に1人でいるときは何でもなかったのに学校や会社などに行くと途端に症状が出る(心臓がバクバクする、周りが気になりすぎて集中できない等も含めて)」

「何か自分が楽しいと思えることがらに没頭できているときには症状を忘れていられる」

僕は多々あります(ありました)。

また、こういう言葉を耳にしたこともあるのではないでしょうか?

「病は気から」

これらを踏まえるとこういう結論に至らなくもないでしょうか?

「自分が患っている病気(僕の場合はIBS)は、症状が出ている臓器/箇所が悪いだけでなく、精神的な部分も多く影響しているのではないか?」

もちろん全ての病気がそうであるとはいいませんが、上記の体験に対して思い当たる節がある方はその可能性も否定できない気がします。

特にIBSの場合、精神的な部分が半分以上を占めるという専門家もいます。

今回は、この精神的な面を司る脳について少し掘り下げていこうと思います。

(あくまでも自分の思うことなので違うと思った方は無視してもらって構いません)

①腸と脳はつながっている

自分の病気が何となくお腹の問題だけでなく、精神(メンタル)的側面も大きいのではないかとは薄々気がついている人も多いかもしれません。

それを確信に変えたのはこの1冊でした。

腸と脳─体内の会話はいかにあなたの気分や選択や健康を左右するか エムラン・メイヤ

この本では、腸と脳はつながっており、互いに作用しあっているということが様々なケースや論文/文献をもとに紹介されており、IBSもそのうちの1として紹介されています。

最近では、腸は「第二の脳」とも呼ばれており、腸-脳神経系は膨大な神経細胞で結ばれていることも知られています。

例えば、緊張したときやストレスにさらされたときにお腹が痛くなるのは、脳→腸方向への作用です、

なんでこんなシステムが人間に備わっているのかと言えば、脳は自分自身でストレスを感じられないからで、代わりに腸が痛みを感じることで、「今自分がストレスにさらされている」ということを知ることができます。自身に無理なストレスをかけすぎないための一種の防衛反応です。

 

逆に、腸→脳方向への作用は、腸内細菌叢(腸内フローラ、乳酸菌とかとか)の構成比と絶対量が重要となります。

もっと正確に言うとこれらの細菌の代謝物が腸-脳神経系に作用し膨大な情報を絶えず脳に送り込んでいます。(食べるものも重要となります)

通常はこの情報送信は無意識(意識の水面下)で行われており、人の考え方や気質など精神的な面に影響を及ぼすと考えられ、実際に腸内細菌を移植したマウスでは、移植前と比較して気質(行動パターン)が変わることも報告されています。

 

さて、ここで腸と脳の一方、または双方に異常が生じたり、両者のバランスが崩れたらどうなると思いますか。

軽度であれば、生物にはレジリエンス(元に戻ろうとする力)があるので、正常状態に復帰できます。

しかし、レジリエンスを超えた異常が発生した場合には、様々な症状として露呈することになります。

そして、腸-脳相関が相互につながっているために無意識のうちに互いが互いに悪影響を及ぼしかねません。

その結果として例えばIBSといった慢性的な症状として認知されることとなります。

この本を読むだけでも、IBSはシンプルに腸だけでなく脳も関与する精神的な面も大きく影響する病と言えると思います。

②思考の癖・強化される神経回路

人によって思考の癖や気質は様々ですが、これらは使うと使うほど強化される傾向にあります。

様々なケースとともに紹介したのが下の一冊です。

脳科学は人格を変えられるか? エレーヌ フォックス

原著では、「sunny brain, rainy brain」というタイトルで有名ですが、これは逆境に遭遇しても、楽観脳(sunny brain,前向きな思考の持ち主)と悲観脳(rainy brain,後ろ向きな思考の持ち主)に分かれるのはなぜかということに疑問を頂いた脳科学者がかきあげた一冊です。

この楽観脳/悲観脳を分ける重要な要因の1つに、生まれつきもった遺伝子が関与していることは間違いありません。

しかし、それと同時にそれらの遺伝子が実際に発現して効果を発揮するかは、生まれた後の環境等が大きく効いてくるとされています。

そして、その遺伝子発現は繰り返されると強化され、その人特有の思考の癖や思考回路が形成されるのです。

 

さて、ここまで長くなりましたが次のような疑問を抱いた方はいらっしゃらないでしょうか。

「悲観脳が強化され続けたらどうなるのか?」

察しの良い人は気づくかもしれません。

悲観脳とIBSの関係性およびそれらが織り成すデフレスパイラルが浮き上がっては来ませんでしょうか?(もちろん卵が先か鶏が先か、という議論はあるかもしれませんが)

③最後に

僕の小さい頃を振り返ってみると、部活の試合でも定期テストでも人前で発表するのも、いつも「失敗しないであろうか?いつもどおりちゃんと出来なかったっらどうしよう」という不安症/心配性を抱えるようなことが多かったように思います。

完璧主義で考えすぎることもよくありました。(このブログに関しては全然かもしれませんが笑)

もしかしたらこんな僕の気質や性格、マインドが僕のIBS症状を助長させたのかもしれないと思った次第です。

 

さて、暗い話ばっかりになったので、最後に明るい話?を1つしましょう。

このマインド面にフォーカスして様々な患者の方の治療経過を記した本があります。

神経衰弱と強迫観念の根治法―森田療法を理解する必読の原典 森田 正馬 

症状がいまいち回復しない人は、メンタル/マインド面からのアプローチを試みても良いかもしれません。

 

今回も最後まで読んでくれてありがとうございました。

あくまでも個人の考えということをお忘れなきようにくださいませ。

(また、適度な心配性/不安症/神経質や悲観脳は必ずしも悪いことばかりだとも限りません。全てはバランスが重要なのです。)

それでは、また。

みずの